「石の記憶」 について

「再生-イタリア紀行 with J」を書き終えたときは、
私がオリジナルな小説を書くのはこれが最後だろうと思いました。
「書ききった」と感じ、もう自分の中には書くべきことはなにも残っていない、
と感じたのです。

それなのに、その数ヵ月後にはまた書き始めていました。
場所だけでなく、時間までを旅する物語を。

この作品に背景を与えてくれたのは、敬愛する塩野七生さんの「ローマ人の物語」です。
二千年前の壮大な歴史絵巻のおかげで、古代ローマとそこに生きた人々は、
私にはとても身近なものになっていました。
おかげで、時を超えてよみがえる恋人たちの想いが、とても自然に浮かんできたのです。

と同時に、私の頭には現代のローマの街に露出する遺跡の風景がありました。
遺跡の中を歩き回るのが、昔からとても好きだったのです。
だからこの作品を書かせてくれたのは、
崩れた遺跡に刻み込まれた、まさに「石の記憶」だとも、思っています。

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